鳥海山ハザードマップ
融雪による火山泥流・降灰・土石流について
火山泥流や土石流は、岩石の混じった泥水が時速数10~10数㎞の高速で川に沿って流れ下った後、下流の平野部で広く氾濫する危険な現象です。
雪の多い時期に噴火が起きたとき、熱い噴出物が火口周囲の大量の雪を溶かし、溶けた水と土砂、岩石が一体になって流れ下るのが 融雪による火山泥流です。
一方、雪の少ない時期に噴火が起き、火口周囲や斜面に積もった火山灰がその後の雨によって回りの土砂や岩石をまきこみながら流れ下るものが土石流です。
鳥海山では、噴火の際にこれらの現象が発生する可能性があります。
なお、一回の噴火で図に示した全ての範囲に氾濫するわけではなく、想定した 火口ゾーンのどの位置で噴火するかによって、火山泥流や土石流の発生する渓流は異なりますので、噴火時には気象庁や県・市町村から正確な情報を得て、適切に 行動することが大切です。
鳥海山ハザードマップの想定条件
雪の多い時期:融雪による火山泥流
雪の多い時期に噴火で雪が溶けて融雪により火山泥流が発生します(想定)
雪の少ない時期:土石流
雪の少ない時期に噴火で火山灰が斜面にたまり、雨で土石流が発生します(想定)
過去数百年間の記録にみられる噴火のうち、爆発的な水蒸気爆発が発生した場合に考えられる災害として、雪の多い時期には噴火で火口周辺の雪が一気に融ける可能性があるため火山泥流を、雪の少ない時期には噴石や火山灰はそのまま斜面に積もり、その後の雨で流れ出すと考えられるため土石流を想定しています。いずれも1801年の噴火(マグマ水蒸気爆発)と同程度の規模を想定しています。
- 溶岩流
鳥海山では、溶岩流は過去数百年間には発生していません。
しかし、871年噴火のように発生する可能性も否定できないため、過去の実績から1回当りの平均的な溶岩量を対象に想定しています。 - 想定火口位置(火口ゾーン)
鳥海山の火口は1ヶ所だけではありません。過去の実績をみてみると、現在の山頂付近から猿穴付近にかけて西北西−東南東方向に火口位置が分布するのが分かります(右図参照)。そのため火口位置を1つではなく、ある程度の範囲(ゾーン)として想定しています。
- その他の噴火現象(火砕流・岩屑なだれ)
ハザードマップに示していないその他の噴火現象として「火砕流」や「岩屑なだれ」などが考えられますが、鳥海山での過去の発生実績や発生頻度を考慮するとこれらの現象は、他の噴火現象よりは、近い将来に起こる確率は小さいと考えられます。