○遊佐町における法令遵守の推進等に関する条例

平成18年3月17日

条例第1号

目次

第1章 総則(第1条―第7条)

第2章 公益目的通報(第8条―第16条)

第3章 特定要求行為(第17条―第19条)

第4章 その他(第20条―第23条)

附則

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、遊佐町における法令遵守の推進と公正な職務の遂行を確保することにより、住民の福祉の向上と信頼される町政を確立し、もつて住民全体の利益を保護することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 住民等 遊佐町(以下「町」という。)の住民及び町に所在する事業所等をその労務提供先(公益通報者保護法(平成16年法律第122号。以下「法」という。)第2条第1項各号に掲げる事業者をいう。)とする者

(2) 職員 地方公務員法(昭和25年法律第261号)第3条第2項に規定する一般職に属する町の職員をいう。

(3) 法令 法律、法律に基づく命令(告示を含む。)、条例、規則及び規程をいう。

(4) 町長等 町長のほか教育委員会、選挙管理委員会、監査委員その他町の執行機関にあつて当該機関を代表する者をいう。

(5) 公益目的通報 住民等が、法令違反又は人の生命、身体、財産若しくは生活環境に重大な損害を与える行為(不作為を含む。以下「違法行為等」という。)が生じ、又はまさに生じようとしていると思料するときに、不正防止のために町に対して行う通報をいう。ただし、次に定めるものを除く。

 不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正な目的で行うもの

 単なる憶測や思い込みによるもの

 町の条例、規則等に規定する努力義務に関するもの

 法第2条第3項に定める通報対象事実と認められないもの(町内部の違法行為等を除く。)

(6) 公益目的通報者 公益目的通報をした住民等をいう。

(7) 特定要求行為 職員以外の者が職員に対し、その職務に関して、特定の団体又は個人(以下「特定のもの」という。)を他のものと比べて有利に扱うなど特別の扱いをすることを(不作為を含む。)を求める働きかけをいう。ただし、公聴会、議会、説明会など公開の場でなされたもの、陳情書、要望書、依頼書など公式の書面(電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他の知覚によつては認識することができない方式で作られた記録をいう。)を含む。)によるもの及びその他の通常の適正な職務の遂行に係るものであることが明らかであるもの(その態様が暴力的行為、どう喝、威かく等職員の公正な職務の遂行を妨げるものを除く。)を除く。

(8) 不当要求行為 特定要求行為のうち、正当な理由なく次に掲げることを求める行為で職員の公正な職務の遂行を妨げることが明白である働きかけをいう。

 特定のものに対して有利又は不利な取扱いをすること。

 特定のものに対して義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨げること。

 職務上知り得た秘密を漏らすこと。

 遂行すべき職務を行わず、又は定められた期限までに行わないこと。

 その他法令に違反すること又は職員としての倫理に著しく反することを行うこと。

(倫理原則等)

第3条 職員は、住民全体の奉仕者であることを深く自覚し、正当な理由なく一部に対してのみ有利又は不利な取扱いをする等不当な差別的扱いをしてはならず、常に住民の立場に立つて公正かつ親切な態度で職務を遂行しなければならない。

2 職員は、自らの行為が町全体の信用に影響を及ぼすことを常に認識し、公私の別を明らかにするとともに、その職務や地位を私的な利益のために用いてはならない。

3 職員は、職務に関する権限行使にあたつては、その関係者から贈与を受けるなど住民の疑惑や不信を招くような行為をしてはならない。

4 職員は、他の者に教示することにより職務の公正を損ない、又は職務に不当な影響を及ぼすおそれのある情報については、秘密とするなど適切に管理しなければならない。

5 職員は、職務の遂行にあたつては、法令を遵守し、上司の指示に従うとともに、不当な要求に対しては毅然として対応しなければならない。また住民に対しては、この条例の趣旨等について十分な説明を行うとともに、行政の透明化を図ることにより町政に対する理解と協力を得られるよう努めなければならない。

(任命権者等の責務)

第4条 任命権者は、職員に対する研修の実施、不当要求行為に適切な対応ができる体制の整備、公益目的通報者の保護、関係者への指導啓発等この条例の目的を達成するために必要な措置を講じなければならない。

2 管理又は監督の地位にある職員は、その職務に係る法令遵守及び倫理の保持について自らの責務を深く自覚するとともに、所属の職員に対して常に適切な指導を行わなければならない。

(住民の責務)

第5条 住民等は公益目的通報者に対し、公益のための通報をしたことを理由として差別的な取扱いをしてはならない。

2 何人も職員に対し公正な職務の遂行をそこなうおそれのある行為を要求してはならない。

(法令遵守等審査会)

第6条 公益目的通報及び特定要求行為に関する審査等を行うため、地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項の規定に基づき、町長の附属機関として、遊佐町法令遵守等審査会(以下「審査会」という。)を設置する。

2 審査会の委員は、遊佐町情報公開・個人情報保護審査会条例(令和5年条例第2号)第1条に規定する遊佐町情報公開・個人情報保護審査会(以下「遊佐町情報公開・個人情報保護審査会」という。)の委員をもつてあてる。

3 審査会に委員長を置き、遊佐町情報公開・個人情報保護審査会の会長がこれにあたる。

4 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。

5 委員は、自己若しくは自己の親族の一身上に関する事件又は自己若しくはこれらの者の従事する業務に直接の利害のある事件については、調査及び審査をすることができない。

6 審査会の会議は、非公開とする。ただし、審査会が必要と認める場合は、公開することができる。

(令5条例6・一部改正)

(審査会の職務)

第7条 審査会は、次に掲げる職務を所掌する。

(1) 公益目的通報及び不利益取扱是正申立の審査等に関する事項

(2) 特定要求行為の審査等に関する事項

(3) その他法令遵守の推進に関して審査会が必要と認めた事項

第2章 公益目的通報

(公益目的通報)

第8条 住民等(職員を含む。以下同じ。)は、第2条第5号の公益目的通報をすることができる。

2 住民等は、公益目的通報をする場合は、原則として実名により誠実に行うものとし、この制度を濫用してはならない。また、匿名により公益目的通報をする場合には、通報の事実が確実にあると信ずるに足りる相当な根拠を示さなければならない。

(不利益取扱いの禁止等)

第9条 町は、公益目的通報者(以下「通報者」という。)に対して公益目的通報をしたことを理由としていかなる不利益な取扱いもしてはならない。

2 通報者は公益目的通報をしたことにより、町から不利益な取扱いを受けたと思料するときには、審査会にその是正の申立てをすることができる。この場合において、通報者がそれ以後に受けた不利益な取扱いは、特段の理由のない限り、当該公益目的通報をしたことを理由としてなされたものと推定する。

3 町長等は、通報者を保護するため、通報者が特定されるおそれがある情報は公開してはならない。

(公益目的通報窓口の設置)

第10条 町長は、総務主管課内に公益目的通報を受け付けるための窓口を設置し、特に指定した職員(以下「窓口担当者」という。)をもつてその事務を担任させる。

2 窓口担当者は、公益目的通報に関連する相談があつた場合、その内容に応じて関係機関の協力を得ながら必要な助言を行うものとする。

3 公益目的通報及び公益目的通報に関連する相談について窓口担当者は、その内容等の秘密保持について細心の注意を払わなければならない。

(公益目的通報の処理)

第11条 窓口担当者が公益目的通報を受けた場合は、次の各号の公益目的通報の区分に従い必要な報告等を行うものとする。

(1) 町の行政機関内部における違法行為等の公益目的通報

(2) 町の行政機関以外の違法行為等であつて当該通報の事実について町が処分等の権限を有する法令に係る公益目的通報

(3) 前各号に定める以外の違法行為等の公益目的通報

第12条 前条第1号及び第2号の公益目的通報があつた場合、窓口担当者はただちに町長に報告するとともに審査会に通知しなければならない。

2 町長は、前項の報告を受けたときは事実確認のための調査を実施し、当該通報どおりの事実があると認めるときは、ただちにその是正もしくは法令に基づく措置を講じ、審査会に報告し、併せて通報者に通知しなければならない。

3 町長は事実確認のための調査を実施した結果、該当する事実がないと認めるとき又は調査を尽くしても当該事実の存否が明らかにならないときはその旨を審査会に報告し、通報者に通知しなければならない。

4 前2項の通報者への通知は、匿名の通報者又は通知を希望しない通報者に対しては、省略することができる。

5 町長は第1項の報告の内容が町長以外の町の行政機関に属する違法行為等の場合、当該機関に連絡し、相互に協力して前項までの措置等を実施するものとする。

第13条 第11条第3号の公益目的通報があつた場合、窓口担当者は当該違法行為等について処分等の権限を有する行政機関窓口を教示しなければならない。この場合において、個人の生命又は身体に危害が発生し又は発生する急迫した危険があると認められる時、若しくは公益目的通報対象事実について信ずるに足りる証拠があり、かつその事実が発生し又は発生が切迫している等住民の福祉及び公益の保護を推進するため必要があると認められるときは、窓口担当者は関係行政機関に連絡する等適切な措置を講ずるものとする。

2 前項の場合において、窓口担当者はその事実を審査会に通知しなければならない。

(委員等による公益目的通報の処置)

第14条 通報者が直接に審査会の委員に公益目的通報をした場合は、「窓口担当者」を「審査会の委員」と読み替えて第11条から前条までの規定を適用する。

2 職員が直接第11条第1項又は第2項の公益目的通報を受けたときは、ただちに窓口担当者に報告しなければならない。

(公益目的通報に係る審査会の措置)

第15条 審査会は、公益目的通報について次の各号に定める事項について審査する。

(1) 第9条第2項の是正の申立

(2) 第12条の規定に基づく通知及び報告内容

(3) 第13条の教示の状況

2 前項の審査において必要と認めるときは、別に調査を行い又は是正措置等について町長等に意見を述べる事ができる。

3 審査会は、通報者が不利益な取扱いを受けていると認められる場合又は正当な理由なく第12条第2項の是正措置が適正に行なわれていない場合、その他公益目的通報について適正な運用がされていない場合は町長にその改善について勧告することができる。

4 審査会は前項の勧告によつてもなお改善されないと認めるときは、その内容を公表する事ができるものとする。

(執行機関が取るべき措置)

第16条 町長等は、前条第2項の規定に基づく審査会の意見があつたときは、その内容を尊重しなければならない。

2 町長等は、前条第3項の規定に基づく審査会の勧告があつたときは、その内容を調査の上、すみやかに違法行為等の是正及び再発を防止するために必要な措置を講じ、通報者保護の限度においてその概要を公表するものとする。

3 町長等は、前2項に規定する場合のほか、通報者が公益目的通報をしたことにより不利益な取扱いを受け、又は受けるおそれがあると認めるときは、速やかに改善又は防止のために必要な措置を講じるものとする。

4 町長等は、職員が自ら関与している違法行為等について公益目的通報をした場合には、当該職員の懲戒処分については、通常の処分より軽減することができるものとする。

5 町長等は、公益目的通報に係る事実がないことが判明した場合等で関係者の名誉が害されたと認めるときは、事実関係の公表等関係者の名誉を回復するため適切な措置を講じるものとする。

第3章 特定要求行為

(特定要求行為への組織的対応)

第17条 職員は、特定要求行為があつたときは、組織的に対応しなければならない。

2 職員は特定要求行為があつたときは、その内容を記録し上司に報告するとともに、その記録を審査会に提出しなければならない。ただし、明らかに不当行為に該当しないと判断したものについては、審査会に提出しないものとする。

3 前項の場合において、その特定要求行為の態様が暴力的行為、どう喝、威かく等職員の公正な職務の遂行を著しく妨げるものであると認められる場合は、関係機関への通報等適切な措置を講じるものとする。

(特定要求行為に係る審査会の職務)

第18条 審査会は、前条第2項の規定により提出された記録について不当要求行為に該当するものか定期的に調査及び審査をするものとする。

2 前項の規定によるもののほか、前条第1項の規定により作成した記録のうち不当要求行為に該当すると思料するものがあるため町長等が審査会に当該記録を提出したときには、審査会はすみやかに必要な調査を行い、当該特定要求行為が不当要求行為に該当するかどうか審査しなければならない。

3 審査会は、前2項の規定による審査会の結果、不当要求行為に該当すると認めるときは是正措置等についての意見を付して、また、該当しないと認めるときはその旨を、町長等に報告するものとする。

4 審査会は、町長等が正当な理由なく次条の措置をとらないときは、これを公表することができるものとする。

(不当要求行為に対する措置)

第19条 町長等は、前条第3項の規定により不当要求行為に該当するものがあるとの報告を審査会から受けたときは、当該不当要求行為を行つた者に対し警告する等必要な措置をとるものとする。この場合において、必要があると認めるときは、当該不当要求行為を行つた者の氏名、警告の内容その他の事項について公表することができる。

第4章 その他

(職員の協力)

第20条 職員は、公益目的通報及び特定要求行為の調査及び審査のため審査会から求められたときは、協力しなければならない。

2 前項の規定により調査に協力をした職員は、その際に知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。

(記録の不開示等)

第21条 特に町長等又は審査会が必要と認めたものを除き、この条例の規定に基づいて作成された文書は、遊佐町情報公開条例(平成10年条例第30号)第8条の規定に基づく不開示情報とし、かつ、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)第78条第1項各号に掲げる不開示情報及び同法第81条に規定する存否を明らかにしない情報として取扱う。

2 この条例において公開又は公表するとされているものについては、前項の規定は適用しない。

(令5条例6・一部改正)

(運用状況の公表)

第22条 町長は、公益目的通報及び不当要求行為の件数及びそれらの概要など前年度の運用状況について毎年度公表する。

(委任)

第23条 この条例の施行に関し必要な事項は、町長が別に定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成18年4月1日から施行する。

(適用区分)

2 この条例の規定は、この条例の施行の日以後に行われる公益目的通報及び特定要求行為について適用する。

(遊佐町情報公開条例の一部改正)

3 遊佐町情報公開条例(平成10年条例第30号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

(令和5年3月16日条例第6号)

この条例は、令和5年4月1日から施行する。

遊佐町における法令遵守の推進等に関する条例

平成18年3月17日 条例第1号

(令和5年4月1日施行)

体系情報
第3編 執行機関/第1章 長/第4節 行政手続
沿革情報
平成18年3月17日 条例第1号
令和5年3月16日 条例第6号