○遊佐町環境基本条例
平成15年3月17日
条例第9号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第7条)
第2章 環境の保全及び創造に関する基本的施策(第8条―第23条)
第3章 環境の保全及び創造に関する施策の推進体制(第24条・第25条)
第4章 環境審議会(第26条―第30条)
第5章 雑則(第31条)
附則
私たちの遊佐町は、鳥海山に象徴される美しく雄大な自然に抱かれて、永い伝統にはぐくまれた歴史や文化が息づくまちである。四季折々の変化と月光川や日向川が潤す肥沃な田園、日本海と緑に囲まれた砂丘は、古来より私たちの暮らしに様々な恵みをもたらしてきた。
しかしながら、利便性と物質的な豊かさを求めて、資源やエネルギーを消費してきたこれまでの社会経済活動は、オゾン層の破壊や地球温暖化、化学物質による汚染など、自然の自浄能力を超えた環境への負荷をもたらした。この影響は、もはや一地域、一国のみならず、すべての生命の生存基盤である地球環境にも及んでおり、その解決に向けて大きな役割が求められている。
今こそ私たちは、安全で健康かつ文化的な生活を営むことのできる豊かな環境の恵沢を享受するだけでなく、将来の世代に良好な環境を引き継いでいく責務を認識し、町民、事業者、町及び町を訪れた者の互いの協働により、環境への負荷の低減に努めなければならない。
私たちはこの認識の下、人と自然が共生し、持続的な発展が可能な遊佐町の構築を目指して、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、環境の保全及び創造について、基本理念を定め、並びに町民、事業者、町及び町を訪れた者の責務を明らかにするとともに、環境の保全及び創造に関する施策の基本となる事項を定めることにより、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もつて現在及び将来にわたつて町民の安全で健康かつ文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。
(1) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であつて、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。
(2) 地球環境保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、酸性雨、海洋の汚染、野生生物の種の減少、その他の地球全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であつて、人類の福祉に貢献するとともに町民の安全で健康かつ文化的な生活の確保に寄与するものをいう。
(3) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴つて生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く。)及び悪臭によつて、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。)に係る被害が生ずることをいう。
(基本理念)
第3条 環境の保全及び創造は、町民が安全で健康かつ文化的な生活を営むことのできる恵み豊かな環境を確保し、これを将来の世代に継承できるように適切に行わなければならない。
2 環境の保全及び創造は、人と自然が共生し、環境への負荷の少ない持続的な発展が可能な循環型社会を構築することを目的として行わなければならない。
3 環境の保全及び創造は、町民、事業者、町及び町を訪れた者がそれぞれの責務を自覚し、協働して推進されなければならない。
4 地球環境保全は、すべての者がこれを自らの課題として認識し、すべての事業活動及び日常生活において自主的かつ積極的に推進されなければならない。
(町民の責務)
第4条 町民は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのつとり、その日常生活において、環境への負荷の低減に自ら努めるとともに、町が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。
(事業者の責務)
第5条 事業者は、基本理念にのつとり、その事業活動を行うにあたつては、これに伴つて生じる公害を防止し、自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずる責務を有する。
2 前項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのつとり、その事業活動に関し、これに伴う環境への負荷の低減その他環境の保全及び創造に自ら努めるとともに、町が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。
(町の責務)
第6条 町は、基本理念にのつとり、環境の保全及び創造に関し、本町の自然的社会的条件に応じた総合的な施策を策定し、及びこれを計画的に実施する責務を有する。
(町を訪れた者の責務)
第7条 町を訪れた者は、基本理念にのつとり、環境への負荷の低減に自ら努めるとともに、町が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。
第2章 環境の保全及び創造に関する基本的施策
(施策の基本方針)
第8条 町は、基本理念にのつとり、次に掲げる事項を確保するため施策を策定し、総合的かつ計画的に行うものとする。
(1) 大気、水、土壌その他の環境の自然的構成要素を良好な状態に保持することにより、町民の健康を保護し、及び生活環境を保全すること。
(2) 高山、森林、里山、農地、海浜、河川及び湧水地域等における多様な自然環境の保全を図ることにより、野生生物の種の保存をはじめ生態系の多様性の確保に努め、人と自然が健全に共生することのできる良好な環境を確保すること。
(3) 人と自然との豊かなふれあいが保たれ、良好な景観並びに永い伝統にはぐくまれた歴史や文化とが調和した快適な環境を確保すること。
(4) 資源の循環的な利用、廃棄物の減量及び再生可能エネルギーの有効活用等を促進することにより、環境への負荷の低減が図られること。
(5) 地球環境保全に資する施策を積極的に推進すること。
(6) 広域的な環境の保全対策を推進すること。
(環境基本計画)
第9条 町長は、環境の保全及び創造に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、遊佐町環境基本計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。
2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 環境の保全及び創造に関する総合的かつ長期的な目標及び施策の方向
(2) 前号に掲げるもののほか、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3 町長は、環境基本計画を定めるにあたつては、遊佐町環境審議会の意見を聴くとともに、町民及び事業者の意見を反映することができるように必要な措置を講じなければならない。
4 町長は、環境基本計画を定めたときは、速やかにこれを公表しなければならない。
5 前2項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。
(年次報告)
第10条 町長は、毎年、環境の状況、町が講じた環境の保全及び創造に関する施策の実施等を明らかにした年次報告書を作成し、公表しなければならない。
(施策の策定等にあたつての配慮)
第11条 町は、環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するにあたつては、環境基本計画との整合を図るとともに、環境の保全及び創造について配慮しなければならない。
(財政上の措置)
第12条 町は、環境の保全及び創造に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
(環境影響評価等の推進)
第13条 環境に著しい影響を及ぼすおそれがある事業を行い又は行おうとする者が、その事業の実施に当たり適切な段階において、その事業に係る環境への影響について自ら適正に調査、予測又は評価を行い、その結果に基づきその事業に係る環境の保全及び創造について適正な配慮をすることができるように、町は、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(規制の措置)
第14条 町は、公害の原因となる行為及び自然環境の適正な保全に支障を及ぼすおそれがある行為に関し、必要な規制の措置を講ずるものとする。
2 前項に定めるもののほか、町は、環境の保全上の支障を防止するため、必要な規制の措置を講ずるよう努めるものとする。
(環境の保全に関する協定の締結)
第15条 町長は、環境の保全上の支障を防止するため必要があると認めるときは、事業者と環境の保全に関する協定について協議し、その締結に努めるものとする。
(資源・エネルギーの循環的な利用等の促進)
第16条 町は、環境への負荷の低減を図るため、廃棄物の減量、エネルギーの効率的利用及び再生可能エネルギーの活用、資源の循環的な利用等が促進されるように必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
2 前項に定めるもののほか、町は、環境への負荷の低減に資する製品、原材料、役務等の利用が促進されるように必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(環境保全型農業の促進)
第17条 町は、安全な農産物を生産する農地の環境を保全する機能を維持するため、有機物資源を活用した土づくり、化学肥料及び農薬の使用の低減、使用済みの農業用資材の適正な処理等の環境への負荷を低減する営農活動の促進に必要な措置を講ずるものとする。
(水環境の保全と自然とのふれあい環境づくり)
第18条 町は、湧水地域及び河川における良好な水環境の保全に努めるとともに、自然と調和した身近な緑や水辺とのふれあいづくりのため、必要な措置を講ずるものとする。
(環境学習等の推進)
第19条 町は、町民、事業者及び町を訪れた者(以下「町民等」という。)が人と環境の関わりについて基本的な知識を習得し理解を深め、環境の保全及び創造に関する自発的な活動を行う意欲が増進されるよう、環境の保全及び創造に関する教育及び学習を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。
(町民等の自発的な活動の促進)
第20条 町は、町民等又はこれらの者の組織する民間の団体が自発的に行う環境の保全及び創造に関する活動を促進するため、必要な措置を講ずるものとする。
(調査、研究、監視等)
第22条 町は、環境の状況の把握に関する調査その他環境の保全及び創造に関する施策を適正に実施するために必要な調査、研究及び監視等の体制整備に努めるものとする。
(地球環境保全に資する施策の推進)
第23条 町は、地球環境の保全に資するため、地球温暖化の防止、オゾン層の保護等に関する施策を積極的に推進するものとする。
第3章 環境の保全及び創造に関する施策の推進体制
(推進体制の整備)
第24条 町長は、町の機関相互の緊密な連携及び施策の調整を図り、環境の保全及び創造に関する施策を推進するための体制を整備するものとする。
2 町は、環境の保全及び創造に関する施策の効率的かつ効果的な推進を図るため、町民等及び民間団体が協働することのできる体制の整備に努めるものとする。
(国及び他の地方公共団体との協力)
第25条 町は、環境の保全及び創造に関し、広域的な取組を必要とする施策について、国及び他の地方公共団体と協力して、その推進に努めるものとする。
第4章 環境審議会
(設置)
第26条 環境の保全及び創造に関する基本的事項を調査審議するため、遊佐町環境審議会(以下「審議会」という。)を置く。
(所掌事項)
第27条 審議会は、町長の諮問に応じ、次に掲げる事項を調査審議する。
(1) 環境基本計画に関すること。
(2) 環境の保全及び創造に関する基本的事項
(3) 前2号に掲げるもののほか、環境行政に関する事項
2 審議会は、前項に定める事項に関し、町長に答申するとともに、必要があると認めたときは、町長に意見を述べることができる。
(組織等)
第28条 審議会は、委員10人以内で組織し、委員は、次に掲げる者のうちから町長が委嘱する。
(1) 関係行政機関の職員
(2) 知識経験を有する者
(3) その他町長が必要と認める者
2 第1項に定めるもののほか、特別な事項を調査審議する必要があるときは、審議会に臨時の委員を置くことができる。
3 委員の任期は2年とし、再任を妨げない。ただし、委員が欠けた場合の補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
4 第2項の委員は、特別な事項に関する調査審議が終了したときに、委嘱を解かれたものとみなす。
(会長及び副会長)
第29条 審議会に会長及び副会長を置き、委員の互選により定める。
2 会長は、会務を総理し、審議会を代表する。
3 副会長は、会長を補佐し、会長に事故あるとき又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。
(会議)
第30条 審議会は、会長が招集し、会長が議長となる。
2 審議会の会議は、委員の半数以上が出席しなければ開くことができない。
3 審議会の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
第5章 雑則
(委任)
第31条 この条例の施行に関し必要な事項は、町長が別に定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成15年4月1日から施行する。
(月光川の清流を守る基本条例の一部改正)
2 月光川の清流を守る基本条例(平成2年条例第12号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略