○遊佐町山砂採取と砂丘地・クロマツ林・農地の保全についての基準

平成22年3月25日

告示第26号

庄内のクロマツ林は、農業と暮らしを飛砂から守るため、1,600年代から先人が幾多の困難を乗り越え植林し、大切に受け継がれてきたものである。しかしながら、昭和40年代の高度成長期以降、森林の手入れは行き届かず、公共事業の必要性から大量の砂採取が行われ、日本の地形レッドデータブックにも掲載されるほど砂丘の地形改変も進んでおり、さらに松くい虫の被害が蔓延し、松林の飛砂防備の機能が低下してきている。このような状況の下、今後も、砂丘地とクロマツ林、農地を保全していくため、この基準を設ける。

1 保全区域

次に定める区域を山砂採取を禁止する区域とする。

(1) 法定開発禁止区域

砂丘部の保安林として指定された区域

(2) 法定区域以外で山砂の採取を禁止すべき区域(保安距離は別途)

現存する保安林を維持するほか、山頂部は、防風効果を得る上で概ね250m以上の防風林が必要と考えられるため、保安林がこの幅に満たない場合は、保安林を含め概ね250mを防風林帯の区域とする。ただし、県道十里塚遊佐線以北の藤崎字下モ山地内は、山頂部の保安林から東側の主たる農道までの概ね400mを保全区域とする。また、同区域以北国道345号の南側までの区間(菅里地内)は、保安林の幅が狭く、既存防風林と畑が防風効果の高い配置となつているため、山頂部の保安林から西側の畑を含む防風林帯まで、概ね400mを保全区域とする。

なお、国道345号以南の保安林がない部分(松濤荘、山形県金峰少年自然の家海浜自然の家周辺区域等)は、県有施設及び周辺の防風林を山砂の採取を禁止すべき区域と見なすものとする。

2 防風林帯の保全

(1) 法面等の崩落防止及び防風効果を図るため斜面保護については植林(クロマツ)を行うものとする。

(2) 防風効果を図るため現況の林帯を生かすこととし、山頂の西側、東側で100m毎に25m幅の防風林帯を設けるよう努力するものとする。

(3) 区域が入り組んでいる場合は、周辺の林帯と整合させるものとする。原則的に既採取地の二度堀は認めない。ただし、不整形地についてはこの限りではない。

3 山砂採取の基準

(1) 関係法令及び山形県陸砂利採取計画認可要領、同審査基準等を適用し、その他についてはこの基準の定めるところとする。

(2) 保安林の保安距離は最低5m(ただし、掘削深が15mを超える場合は、掘削深の1/3相当の距離)とする。道路の保安距離についても5mとする。

(3) 掘削計画高は、原則的に国県道や隣接する町道などの高さより、掘り下げないものとする。掘削の安定勾配は、垂直距離1mに対し、水平距離2mとし、掘削深が5mを超えるときは、水平距離2mの小段を設けるものとする。

4 森林の管理

(1) 採取者は法面等に新たな植林を行なつた場合は2年間管理を行なうものとする。それ以後は土地の所有者が維持管理を適正に行い、林帯幅を保持しながら、良好な防風林の管理に努めるものとする。

(2) 維持管理にあたつては、関係機関と連携しながら、行政の指導も得て進めるものとする。

5 全体計画に関する意見の聴取

山砂採取業者から提出された山砂採取の全体計画に対し、意見を聴取するため、遊佐町山砂採取全体計画検討会議を設置する。

6 営農に関すること

優良農地への転用の場合は、採取の全体計画の申請に際して農業振興のため、採取後3箇年の営農計画を提出するものとする。

7 調査・確認

(1) 町は山砂採取の完了後、又は必要に応じて調査を行い、当該事業がこの基準に合致するものであることを確認するものとする。基準に合致しないことが明らかな場合は事業者と協議の上、改善されるまで、次回意見書の提出を留保することができるものとする。

(2) 町は山砂採取完了の3年後に植林の状況を確認するものとする。

8 その他

この基準は、今後の社会状況の変化により必要に応じて見直すものとする。

この基準は、平成22年4月1日より施行する。

遊佐町山砂採取と砂丘地・クロマツ林・農地の保全についての基準

平成22年3月25日 告示第26号

(平成22年4月1日施行)

体系情報
第10編 設/第3章
沿革情報
平成22年3月25日 告示第26号