○遊佐町事務決裁規程の運用

昭和48年6月1日

訓第1号

 第1条関係 この規程は、町長の権限に属する事務の代決、専決等決裁に関する事項を定めるものであり、長部局にのみ拘束力をもつものである。

 第2条関係 決裁、代決、専決、不在等の用語の意義は本条に定めるところによるものとし、その運用については充分注意すること。

決裁 町において決裁とは、町がその事務を処理するためにあたり、当該事務の執行の権限を有する者が承認、決定、裁定などを考え、町の意思を決定することをいう。

本号において決裁権者を副町長、課長等の補助職員に対し認めることにした。これはあくまでも内部拘束であつて外部に対しては何等拘束力をもつものではない。この点、委任や代理と明確に異なる。(別紙 委任・代理・専決・代決の相違点参考)

代決 代決というのは、長、長の代理者、長の権限委任を受けた者、専決権を有する者などが不在の場合に所定の者が一時これらの者(決裁権者)にかわつて決裁することをいうものであり、専決が一定範囲において常時決裁するものに対し、代決は、決裁権者が不在の場合のみ一時的に決裁するものである点において異なる。なお、後閲(第9条)について留意すること。

専決 専決というのは、長の権限に属する事務の一部について、所定の者が一定範囲の事項にかぎり、長にかわつて決裁することをいい長の在、不在に関係なく常時行なわれるものである。その執行文書も長の名において行なわれる。しかし、内部的には専決者が長に対して責任を有することはいうまでもない。

不在 不在とは、現に当該職に在職する者がおり、その者が本号に定める状態にあるときをいうもので、当該職に在る者が欠けた場合、あるいは当初からいない場合まで含むものでない。

電子決裁 あらかじめシステム化された決裁用ソフトウェアを組み込んだ電子計算機による決裁又は承認であり、その決裁等の日時が記録されるものをいう。

(平18訓1・平19訓1・一部改正)

 第3条関係 事務の決裁は、起案(伺)文書によつて行なわれるものであるが、起案者から決裁権者に至るまでの原則的な順序を定めたものである。回議の手順として次の事項が掲げられる。

(1) 特に重要事項は予め町長の方針を確める。

(2) 関係課と充分協議する。

(3) 主務者の直近上司を経て課長の決裁を受ける。

(4) 関係課と合議する。

(5) 合議の場合、内容説明を要する場合は上司の指示により起案者が持ちまわりを行なう。

(6) 合議を受けた課は直ちに査閲し、同意、不同意を決定する。

(7) 合議を受けた課において査閲日時を要するときは、その理由を主管課長に通知する。

(8) 合議を受けた課において原議に対し意見不一致の場合はその意見を添える。

(9) 主務者は、意見を添えたまま決裁を受ける。

(10) 合議を受けた文書で次のような場合は合議先に通知する。

ア 要旨を改正したとき 合議先の承認

イ 廃案になつたとき 合議先に通知

本条の運用について特に留意されたい事項は次のとおりである。

ア 回議を完全に実施すること。

イ 課長等において特に明確なる指示を与えるものであること。

ウ 回議の実施が不備の場合決裁を保留するものであること。

エ 起案主務者(特に課長が説明を要する場合を除く。)が持ちまわり決裁を受けることは差支えないものとする。

オ 起案文書で特に説明を要しない場合以外は、文書主管課に一括提出し、集中決裁方式をとるものとする。

 第4条関係 この規定により副町長、課長等が専決できることとした事項(第5条第6条)以外の事務はすべて長の専決事項となるが、その長の専決事項について、長の不在の場合の代決について定めたものである。長が不在のときは副町長が長、副町長ともに不在のときは主管課長がその職務を代決する。

地方自治法第152条第1項の規定により、長が事故あるとき、または欠けたときは、副町長がその職務を代理するものとされている。

したがつて、長が同法に定める事故があるときに該当した場合は当然に副町長がその職務代理者として長の職務を行なうことになるので、本条第1項及び第2項は適用されない。つまり本条の「長の不在」は、長が自治法にいう「事故あるとき」を除いた、第2条第4号に定める「不在」の場合をさすものである。しかし、長に事故があり、また欠けたことにより、副町長が職務代理者となつた場合において、当該職務代理者が不在のときは、第2項の規定により主管課長が代決することができる。ただし、第4条第2項ただし書については、(別表第1の4の決裁事務)総務課長が代決することとした。

長が不在の場合、長の決裁すべき事項をすべて補助職員の代決にまかせることは、適当でないので特に指示を受けたもの、または緊急やむを得ないものを除き、重要、異例事項もしくは疑義ある事項についての代決は認めないものとした。

代決できない重要事項を例示すれば、次のとおりである。

(1) 町行政運営に関する一般方針並びに総合企画に関すること。

(2) 予算の編成に関すること。

(3) 町の廃置分合及び境界変更に関すること。

(4) 町議会の招集及び議案の提出に関すること。

(5) 専決処分に関すること。

(6) 条例、規則の制定改廃に関すること。

(7) 職員の任免、分限、懲戒に関すること。

(8) 権限の委任に関すること。

(9) 訴願、訴訟、異議申出等に関すること。

(10) 重要な許可、認可、免許等に関すること。

(11) その他これらに準ずる重要な事項

(平12訓1・平19訓1・平22訓1・一部改正)

 第5条関係 専決区分については、事務内容を職能別に分類し、これを基準とし、それぞれの事務の決裁区分を定める方法をとつた。専決事項は、これを共通事務(別表第1)と固有事務(別表第2)に区分し、決裁区分が事務の系統により理解しやすいようにした各表の内容は次のとおりである。

別表第1(共通事務)

(1) 庶務

(2) 人事

(3) 財務

(4) 予算執行支出命令

別表第2(固有事務)

(1) 総務

(2) 税務

(3) 住民

(4) 保健

(5) 農林水産

(6) 商工観光

(7) 建設

以上のように、別表の決裁区分は、課組織やその所掌事務の区分とは必ず一致しないので決裁事務にあたつては、別表の関係事務区分の所在を理解し、円滑な運営がはかられるようつとめること。

専決事項とされているものであつても、重要、異例、新規事項等については上司の決裁を受けるものとしているので、専断におちいらないよう特に注意されたい。

(平12訓1・一部改正)

 第6条関係 行政事務の実態は複雑多様であり、専決事項に掲げられないものでもその性質が軽易であり専決事項と類するものについては、あらかじめ上司の承認を得て専決できることとした。

また、課長専決事項には、定例的、機械的な事項も多いので実状に応じ、長の承認を得て、専決事務の一部を所属職員(係長)に専決させることができるものとし、責任の明確化と事務能率の増進をはかろうとするものである。

 第7条 第8条関係 副町長、課長等の専決権者が不在の場合の当該専決事務について、その順序を定めたものである。なお、副町長に事故あるとき、または欠けたときは、副町長専決事務については地方自治法第152条第2項の規定により、指定された職員が当該専決事務を行なうものとする。

(平19訓1・一部改正)

 第9条から第11条関係 決裁を受ける場合の順序は第4条に定めるところによるが決裁権者、または代決権者に至るまでの上司が不在の場合の手続(不在後閲)を定めたものである。

なお、代決した事務については、定例軽易なものを除き、代決者はすみやかに当該事務の決裁権者の後閲を受けるものとした。

(平18訓1・旧第9条 第10条関係繰下)

 第12条関係 電子決裁の場合は、不在あるいは後閲と記入するまでもなく、あらかじめ定められている代決者が決裁を行うこととなるため第9条から第11条までの規定は適用しないこととされた。

なお、第2項では専決又は代決した事務のうち、重要なものについては第11条と同様に上司に報告する事とされ、適切な方法とは、電子メール等によるものも含むと解される。

第3項では課長専決事務について、課長、代決者とも不在のときは決裁に支障が出るため、代決者の代決者等をあらかじめ定めておくべきことを規定したものである。

(平18訓1・追加)

改正文(平成12年3月30日訓第1号)

平成12年4月1日から適用する。

改正文(平成18年3月30日訓第1号)

平成18年4月1日から施行する。

改正文(平成19年3月27日訓第1号)

平成19年4月1日から適用する。

改正文(平成22年3月16日訓第1号)

平成22年4月1日から適用する。

(別紙)

(平19訓1・一部改正)

委任・代理・専決・代決の相違点

 

対象となる事務

対象者

要件

権限の委譲の有無・効果

文書の名義・印

責任の所在

根拠規定

委任

長の権限に属する事務の一部

補助機関の職員・行政委員会・その委員長・委員・委員等

長の意思による。

権限の委譲あり。受任者は自己の名と責任において処理する。

受任者の名義と職印を使用する。

受任者による行為の責任は、委任の限度において受任者が負い、委任者はその範囲内で責任を免れる。

地方自治法第153条第1項・第180条の2

代理

法定代理

長の権限に属する事務の全部

副町長

長が不在のとき又は欠けたとき。

権限の委譲はないが、代理者は自己の名と責任において処理。長が行つたのと同じ効果がある。

職務代理者である旨を表示した上で、自己の名と職務代理者印を使用する。

代理者が行つた行為(処分)の取消しや差止請求の相手方には被代理者(長)がなるが、当該地方公共団体に対する賠償責任等については、代理者が負うものと解されている。

地方自治法第152条第1項

任意代理

長の権限に属する事務の一部

補助機関の職員

長の意思による。

地方自治法第153条第1項

補助執行─決裁権の内部的配分

専決

長の権限に属する事務の一部

補助機関の職員

長の意思による。あらかじめ職区分に応じた専決事項に決定しておくのが普通である。

権限の委譲なし。「内部委任」ともいわれ、飽くまでも内部的な関係において長の権限に属する事務の一部についての意思決定の権限を得ているにすぎない。

原則として、本来の決裁権者(長)の名義と職印を使用する。

原則として、本来の決裁権者(長)が最終責任を負うが、当該地方公共団体に対する賠償責任については、専決者、代決者は免れないと解されている。

法律上の根拠はない(ただし、行政委員会の職員等の補助執行については、地方自治法第180条の2)。各地方公共団体で定める事務決裁規程等による。

代決

決裁権者が不在のとき又は欠けたとき。

権限の委譲なし。飽くまでも内部的な関係において本来の決裁(決定)権者に代わつて臨時に意思決定するにすぎない。

遊佐町事務決裁規程の運用

昭和48年6月1日 訓第1号

(平成22年4月1日施行)

体系情報
第3編 執行機関/第1章 長/第2節 代理・代決等
沿革情報
昭和48年6月1日 訓第1号
平成12年3月30日 訓第1号
平成18年3月30日 訓第1号
平成19年3月27日 訓第1号
平成22年3月16日 訓第1号